最近の曲は

最近の曲はよく分からん。昔みたいな名曲が最近のにはない。ということを言っている人は思いの外多い。まずは自分の感性が退化していないかを疑うのが誠実な態度というものであろうが、これらの懐古厨の意見は一蹴されるべきものでもないように思う。かくいう自分も最近の曲よりも80年から00年代の曲が琴線に触れることが多い。最近の曲は、みたいな色メガネをかけていないつもりであるが、何故だろうか。この理由を自分の場合にこじつけてみると以下のようなものが考えられようか。

まず、一昔前の曲には現代とは少し異なる感覚が含まれており新鮮味を感じる。どうも自分は異質なものを含む曲を好むようだ。誰でも思春期には大小様々な鬱屈な想いを抱えていたであろうが、それでも夜の校舎の窓ガラスを壊して回った人はもはや現代にはおらず化石となっている。そんなところが新鮮で面白い。

あとはある曲が心に残るものとなるまでは時間がかかるということだ。新しい曲をまあこんなものかと聞く。メディアなどで使用されて馴染んでくる。久しぶりに聞くと最初は気づかなかった歌詞の意味に気付く。忘れた頃に再び聞くとそれは深く心に感じ入るものになっている。

最後に最も陳腐なものとして思い出補正というべきもの。現在の思うようにならぬ自分と過去の幾らでも可能性のあった自分。昔聞いたことのある曲はあの頃の自分と結びついて脚色されるようなところもあるように思う。

などであろうか。自分にとっては一番最初に挙げた点が一番大きいように思う。こんな理由もあるので選り好みせずに多くの曲を聞くように努めたい。