ぼくの好きな曲

ぼくは通学にそこそこ時間がかかるのでその間は大体音楽を聴いている。ぼくにも好きなアーティストやバンドというものがあって、自分の中での定番曲を聴いたり新曲も聴いたりとまあその辺は普通だ。ふと思ったのだけれど、自分が好きな曲にはアーティストが違えども一定の傾向がありそうだ。でもどういう曲が好きなのか、言葉で表すことをしてこなかった(自分でもよくわからなかったというのもある)。最近ぼくの好みを部分的に説明するようなしっくりくる基準を見つけたのでせっかくなので記しておこうと思う。

ぼくがある曲を好きになるとき、それは歌詞が自分の好みのものであることが多い。歌詞にもいろいろあって、物語性のあるものとかメッセージ性のあるものとかリズム感とかノリを重視したものとかが一例だ。ぼくが好きな歌詞は、とにかく言葉選びのセンスが秀逸で、それぞれの言葉が持つイメージが発散して、それらのイメージが部分的に重なり合って一曲として見たときに一つの概念を作り出しているもの、という感じだろうか。一言で言うならオサレ感だ。言葉にはそれ自体の意味の他に、ぼくたちにイメージを想起させる。この辺は俳句と同じだ。春と聞けば満開の桜で新生活への期待に胸を膨らませ、秋と聞けば鹿の鳴く声が別れを予感させる。夏は愉快で冬は寂しい。愉快な夏には夜中家を飛び出したくなるし、寂しい冬には抱きしめたくなる。東京は冷たい感じのする大都会で夜の街は駆け抜けたい。大阪はぼくのホームで夕焼けの街は静かに眺めていたい。言葉の持つイメージは強大で、それが歌詞になったときにストーリーがなくとも一貫したイメージを伝える。言葉の力を信じきった曲。そんな曲が好きなのだ。

もちろん曲にはこれ以外の要素も山ほどあるが、こちらに関しては別途研究を要する。