水筒を垂直にして飲んだ夏

という句がお〜いお茶のペットボトルに印刷されていて全く関心してしまった。確か小学生か中学生の作品だったように思う。シンプルな作品だけれど(だからこそ)、どれだけ暑い夏だったのか、そして作者がどのようにしてその夏を過ごしたのか、脳天を突き抜けるように伝わってくる。僕が万言を費やして小難しい表現を使ったところで、この素直な作品に敵いようがない。まさに、己の凡夫さを分からせてくれる作品だ(そのようなことでいちいち落ち込まないけれど)。教訓としては、不必要に小難しい語彙を使わないということだ。覚えたての難しい語彙というものはつい使いたくなってしまうものだが、何かを表現しようと思ったら自分に馴染みのあるものを使ったほうがいいだろう。無理やり難しい表現を使うと、平凡な語彙で記した他の部分との釣り合いが取れない。だから己の力量を把握して、文章もそういう風にしたほうがいいと思う。

たまにツイッターで見かけるが、自称論客ツイッタラー(もちろんフォロワーの方ではないので安心を)が、好んでアンチテーゼという語を使っているのを見かける。彼ら好きだよね、アンチテーゼ。内容はともかく、アンチテーゼという語を使いたくてたまらない感じが伝わりまくってきて恥ずかしくなってしまう。だってアンチテーゼという語以外は中学生の文章だもん。異世界からやってきた語彙か?というくらい他の文と不釣り合いなアンチテーゼという語が蛍光ペンで何重にも塗りたくったように目立っていて、もうアンチテーゼしか見えない。